2024年10月09日

アンチ・トランプ絵画展 ケビン・クィッグリー「ヘタレ・スーパー・ヒーロー」

アメリカのガロ系♂謇ニ、ケビン・クィッグリーをご存じですか? 
ケビン氏は1996年に蛭子能収、キャロル霜田、谷岡ヤスジ、とま雅和、ねこぢる、根本敬、花輪和一、日野日出志、マディ上原、みぎわパン、山田花子の諸作を収録したアンソロジー『Comics Underground JAPAN』(表紙画:スージー甘金)の編集・英訳、1997年に蛭子能収著『私立探偵エビスヨシカズ』のカバー表4を飾った蛭子さんの肖像画を描き、2008年に根本敬著『怪人無礼講ララバイ』の英語版「MONSTER MEN BUREIKO LULLABY」で英訳を手掛けるなど、日本のオルタナティブ・コミックに造詣が深く、『ガロ』(91年5月号、6月号)に漫画が掲載されたこともあるという稀有なアーティストです。
そのケビン氏が2000年から描き始めた、戦い尽くし疲れ果てた哀れなヘタレ・スーパー・ヒーロー達をテーマとした個展がアメリカ大統領選挙の時期に併せ、太平洋を挟んだここ日本で開催されます。
「強いアメリカ、トランプ氏を大統領に欲するアメリカ、強いヒーローたちがバッコするこの時代に対して、彼の作品の中のヒーローたちは、むしろ弱く優しいものとして存在しているのではないかと考えさせるものです。
一度彼の作品に触れると不思議なやさしさに心揺さぶられるはずです。
こんな風に考える普通のアメリカ人もいるのだと広く知ってほしいと企画しました。」(本展企画者・いぐろしげお)

会期:10月17日(木)〜11月4日(月)
   11時〜15時/17時〜20時半 火曜日定休
場所:カフェ シングス
東京都国立市東4ー1ー13 ACSイーストハイツ1階
電話:042-843-0957
観覧無料・飲食代別途

◎プロフィール
Kevin Quigley/ケビン・クィッグリー
1957年、米国ニューヨーク州ロング・アイランド生まれ。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校文学専攻。1990年、慣れ親しんだニューヨークを離れ、ニュージャージー州の南端、デラウェア湾近くの小さな町、ニューポートに移り住む。自作漫画の出版をはじめ、地元ニュージャージー州南部を拠点に活動、フィラデルフィア、ニューヨーク市で個展やグループ展を開催している。現在は2024年10月に予定されているグループ展に向け、コラージュ、アクリル絵具によるミクストメディアの新作を制作中。

◎スーパー・ヒーローたち
スーパー・ヒーローをテーマにした絵は2000年に描き始めた。その前の約2年間は油絵を描いたり、やめたりしていた。もともとのきっかけは、友達に伝統的な宗教画のイメージを使わずに宗教画を描きたいと話していたことだった。新しいミレニアムのアイコンというのを私は見ていて、ある友人に、自分は21世紀最初の素晴らしいアート作品を作っているのだと吹聴したことさえあった。 スーパーマンから新しい神々(ソー等)といったスーパー・ヒーローは、私の子供時代にはまさに神のような存在だった。しかし、今になってみると、すでに疲れ果てて、戦い尽くしているように思われた(ただし、これについては私に先見の明がなかった。マーヴェル・コミックスはこの後10年後に映画界を席巻したではないか。ちなみにドナルドトランプが黄金のエスカレーターを下りてきて大統領候補の名乗りを上げたのも15年後の話である)。それで私は自分のスーパー・ヒーローを、疲れ果て、戦い尽くした、哀れな存在と描いたのだった。ブルースを歌っている。そのスタイルはみすぼらしく間違っている(絵の技術という点で私はまだ自分が何をやっているのか全くわからなかったので、これを描くのはそんなに難しくなかったと思う)。 それでも、彼らはどこかバスター・キートンのような威厳と、ほんのわずかな宗教的な輝きを併せ持ち、物語の始まりと終わりを彷彿させるのだ。悲しいことに、この最初のスーパー・ヒーローの絵を発表してから数か月内にアメリカでは9.11同時テロ多発事件が起こり、このひどい混乱の中で私のオフビートなコンセプトがなおさら適切なように思われたのだった。(Kevin Quigley/ケビン・クィッグリー)

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Pass Over-“Condemned to Flight”(飛び越えて―ただ、ただ、飛び続ける)


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The Unnamable(希望をあきらめない名無しさん)


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Masked Pariah vs. The Idiot(マスクト・パライア対ザ・イディオット:戦いにならない戦い)
posted by 青林工藝舎イベント情報 at 14:20| イベント情報